「柔らかい肌」(La peau douce)1964年【若き日の美しいフランソワーズ・ドルレアック】

カトリーヌ・ドヌーヴの姉であるフランソワーズ・ドルレアックを

フランソワ・トリュフォーが美しく撮った作品。

もしまだドルレアックが生きていたなら

どのような女優になっていたのだろう?などと思ったりする。

映画「ロシュフォールの恋人たち」(1967年)に出てくる

デルフィーヌとソランジュ姉妹のように

フランスを代表する2大女優になっていたかもしれないであろうことは想像に難しくない。

この映画を初めて知ったのは10年以上前の

FIGARO JAPONのコラムだっただろうか。

ストーリーは、実際に起こった新聞の三面記事。

内容こそシリアスなものの、

ニコル演じるドルレアックの立ち振る舞いは

今見てもとても洗練されていて上品で

エレガントそのもの。

トリュフォー映画には

ピエール・カルダンのミューズであり

東洋人初のパリコレモデルであった

松本弘子さん(「家庭」/1970年)や

フランス映画の顔とも言える大女優

「突然、炎のごとく」(1962年)の

ジャンヌ・モロー、

トリュフォー監督自身を投影させた

“アントワーヌ少年”シリーズには

デルフィーヌ・セイリグ(「夜霧の恋人たち」1968年)、

そして、トリュフォー 映画最大のヒット作と言われている

「終電車」(1980年)にはカトリーヌ・ドヌーヴと

名だたる女優が足跡を残している。

女性を撮るのが上手いとされているフランソワ・トリュフォー監督。

“ヌーヴェル・ヴァーグの旗手”ともされるトリュフォー映画は、

奇抜で難解な作品が良しとされていた映画が多かった時代の中でも

わりと日常的で、誰にとっても身近である

「愛情」というテーマにフォーカスされている作品が多い。

それは監督自身の屈折した幼少時代の

愛への枯渇体験が色濃く影響しているからなのかもしれないが、

観る側の心の綾を解きほぐすように

トリュフォー監督の視点を借りて、

自分の内部に焦点を当てることができる映画でもある。

緻密な心情表現や、

映画全体に漂う柔らかくもアンニュイな雰囲気は

トリュフォー映画ならではといったところ。

10代の時からフランス映画が好きになり、

様々な映画に触れることができましたが、

そんな中でも、

この”La Peau Douce(柔らかい肌)”は、

私の中で時が経っても色褪せない

クラシックな魅力に溢れた映画の一つです。

Bitly

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