10年前、それこそまだ、それなりに現役デザイナーとして働いていた時期です。
当時は、商社でOEM(他社ブランドのデザインや企画を担当する)デザイナーをしていました。
直前に、フランスのトラノイ(パリコレシーズンに現地で開催される展示会)出展ブランドにいたこともあり、このシーズンは特に慌しく、現場も殺伐としていて、もうファッションなんて懲り懲りだと燃え尽き症候群のようになった後に入った会社でした。
が、OEMという形態が意外とやり甲斐があり。
それまでは、自社ブランドの製品を自分たちでゼロから作り込むようなものづくりをしていましたが、OEMとは基本、メーカーにいるバイヤー向けにこちら側が、デザインを提案し、製品を買ってもらうかたちで量産までをトータル的に担うものづくりです。
「誰かに喜んでもらう」というのが凄く実感しやすい環境だったこともあり、とてもやり甲斐を感じていました。
毎日のように会社と取引先を行き来しては、デザイン出し、サンプルチェック、市場調査などをしながら、前職で廃人化しきった気持ちを「デザインで評価してもらう」ことではなく、「誰か(取引先)の役に立つ」ということで立て直していたように思います。
そこから10年。今では全く関係のない仕事をしていますし、キャリア的に見たらマイナスな結果だと思いますが、子供を軸に考えると、10年前には考えもしなかった在宅ワークという働き方にやはり救われています。
仕事を辞めたら、ファッションへの気持ちも遠のくだろうと思っていましたが、意外とそうでもなく。
良い経験も、苦々しい経験も徐々に自分の中で昇華され、一周回って、好きな部分や、大切にしたい部分は変わらずに残るものなのだなと思いました。
10年前と比べ、自分を取り巻く環境や、生活は大きく変わったけれど、10年前よりも今の方が生きやすくなったと感じます。(歳をとったせいもあるかな。)
物価高騰とか、不可抗力的なことは今の方が大変だけれど。
そして、ここからまた10年先は、今の自分の選択や、生き方が反映されてくるのだろうな。。と思うと、慎ましく頑張って生きよう…。と思うのでした。
ファッション誌の中で特に好きだった60年代のフランスの雑誌。Mademoiselle age tendre(マリアンヌとその猫ちゃん、可愛すぎる。しかもオッドアイ?)
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